熱処理加工データ集

窒化

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概要
窒化は鋼を含窒素雰囲気中で加熱し、表面に窒化物を形成させ、硬化する方法です。処理温度が450〜600°Cと比較的低温であり、さらに窒化処理後に焼入れなどの操作を必要としないため、変形が極めて少ないという特徴があります。
目的
窒化によって、鋼表面層に窒化層を形成し、表面層の硬度を高めることを主目的とします。
窒化専用鋼の場合、ビッカース硬さで1000〜1200Hvに達する高い硬さも得られるため、耐摩耗性を要求される部品に用いられています。 また、窒化層は、耐食性を向上させる性質もあります。
熱処理方法
ガス窒化の場合、アンモニアガスによる窒化法であり、まず炉内でアンモニアガスが熱分解によって水素と窒素に分解されます。この際に窒素[N]が鋼表面に侵入し、窒化物の硬化層を形成します。
硬さは処理温度が500°C前後で極大となりますが、処理温度が520°C以上になると、もろい白層が厚くなります。 ガス窒化が通常510°Cで行われるのは、もろい白層をできるだけ減少させるためで、500°Cより低い温度では、窒化層が薄くなります。
その他窒化法とその概要について、下表に示します。
窒化方法 窒化の反応
ガス窒化 アンモニアを主体にした雰囲気中で行う方法で、アンモニアによって発生した窒素が鋼中に侵入する。
塩浴窒化(タフトライド) シアン酸塩を媒体にして行う方法で、シアン酸塩と空気との反応によって生じた窒素が鋼中に侵入する。
プラズマ窒化 減圧したアンモニアまたは窒素と水素の混合雰囲気中で、陰極とした処理物と陽極との間に生じるグロー放電を利用した方法で、プラズマ化した窒素が鋼中に侵入する。
ガス軟窒化 アンモニアと浸炭性ガスの混合ガス雰囲気中で処理を行う方法で、炭素と窒素が鋼中に同時に侵入する。
酸窒化 アンモニアと酸化性ガスの混合雰囲気中で行う方法で、窒素と酸素が同時に鋼中に侵入する。
浸硫窒化 塩浴(硫黄塩を添加した溶融塩)またはガス(アンモニアと硫化水素ガスの混合)を媒体にした方法で、窒素と硫黄が同時に鋼中に侵入する。
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