熱処理加工データ集

高周波焼入

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概要
高周波焼入れは、誘導加熱の原理を利用して、鉄鋼部品の表面を急速に加熱、急冷して表面に焼入硬化層をつくる方法です。 高周波電源に接続された加熱コイルの中に処理物を置き、高周波電流を流すと、処理物の表面層に渦電流が誘起され発熱する。加熱後、水などの冷却剤を噴射して急冷して、焼入れを行います。直接加熱により、非接触ながら処理物へ短時間に大きなエネルギーが投入され、急速加熱が可能となります。
目的
高周波焼入れの特徴としては、次のような長所があります。
1.高い表面硬さと圧縮残留応力によって、耐摩耗性と耐疲れ性が向上する。
2.加熱時間が短く、表面の脱炭や酸化が少ない。
3.直接加熱のため、熱効率がよい。
4.必要な部分だけの焼入れが可能である。
5.冷却速度が速く、焼きが入りやすいため、安価な機械構造用炭素鋼が使用できる。
6.作業の自動化が容易である。
熱処理方法
高周波電源から高周波電流を、被加熱物に伝えるのに過熱コイル(誘導子)が用いられ、連結リードを介して加熱コイル側へ電力が供給されます。
高周波焼入れの場合、加熱深さは適用される高周波電源の周波数に依存します。周波数が高くなるほど、渦電流は処理物の中心部に流れず、表面に集中して流れる現象があり、これを表皮効果といいます。
周波数(KHz) 硬化深さ(mm)
1 4.0〜10.0
3 2.5〜5.0
10 1.5〜4.0
400 0.5〜2.5
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