- 概要
- 言葉の通り、「ならし」つまり組織を均一にする熱処理のことをいいます。
以前は「焼準」といったので、古い図面や書物ではこの表現が用いられていることもあります。
- 目的
- 焼きならしは圧延などの加工による硬さむらや残留応力を除去し、粗大化した組織の微細化、組織の均質化、機械的性質の向上などを主な目的としています。
焼入れや焼きなましの前処理としても広く用いられています。
低炭素鋼の場合には被削性を向上させるためにも焼きならしが使用されています。
また、大型鍛造品や鋳造品では質量効果や変形のため、焼入れ・焼き戻しができないが、焼きならしでは機械的性質が改善でき、割れや変形などの危険が少ないので、焼きならしが用いられています。
- 熱処理方法
- 標準的な焼きならしは鋼の変態点より40〜60°C程度高い温度に加熱した後、大気中で常温まで放冷します。
焼きならしには通常焼きならしのほか、二段焼きならし、焼きならし−焼き戻し、等温焼きならし、二重(二回)焼きならしなどがあるが、現在では等温焼きならしは長時間を要するので、ほとんど用いられていません。