熱処理加工データ集

焼戻し

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概要
焼入れした後に行う熱処理であり、焼入れで硬度を高めた材料に、じん性を加えるために行う熱処理方法です。
焼戻しは焼入れの後に行うのが一般的ですが、焼きならしの後に焼戻しを行うこともあります。
目的
焼入れしたままではマルテンサイト組織で非常に硬いが、反面材料として脆く、そのままでは使用することはできません。 これを再度加熱することにより、硬さは低下するが鋼の内部応力(残留応力)、内部ひずみが低減され、急速にじん性が回復します。 このように、じん性を得ることが焼戻しの主目的となります。
副次的な効果として、残留オーステナイトの分解による寸法の安定化や経年変化を防ぐなどの効果もあります。
熱処理方法
焼戻し温度は大きく分けて2通りあり、もっとも多く用いられているのが、変態点以下の比較的高温に加熱した後、適当な速さで冷却する方法です。
通常、これを高温焼戻しといっており、これに対して200°C以下で焼戻しを行うのを低温焼戻しといっています。
一般的には、空冷による冷却方法がとられていますが、焼戻し温度を400°C〜650°Cにした場合は焼戻し脆性を防止するため、急速冷却が必要なので、場合によっては水冷も行われています。
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